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参加者からの声 ー作家としてー
Ongoing vol.01に携わった人、3つの立場から寄せられたコメント
Ongoing に参加いただいたアーティストの一人、江場左知子さんから。
表現活動をすることは、自分を取り巻くあらゆる物事や他者と、よりすばらしい対話を図るための手段の一つであるように思います。作品を制作すること自体は、だいたいの場合極個人的な作業ですが、それだけでは作品は完成ではなく、できあがったものが多くの鑑賞者を得ることによって意識の中に新たな視点や次なる展望が広がり、その媒体としての機能を全うするのではないかと考えています。
今回、展覧会場には常に大勢の人々が行き来し、そこはかとない活気と気さくな雰囲気が漂っており、ご来場頂いた方々と参加作家との対話を会場の至る所で見ることができました。「現代美術」というカテゴライズされた展覧会などではこのような状況はあまり見かけないことのように思います。今回のそのような状況は、作品を通しての理想的なコミュニケーションの形を、多少なりとも実現できていたのではないかと感じました。しかしその点に於いては、図らずもそうなったという部分も大いにあり、今後もっと意識的にいろいろなアプローチを試みる必要があるのではないかと思います。
また、作品を制作することに於いて、ファインアートの性質とより多くの人に楽しんでもらえるような大衆性というある種相反する要素をいかにうまく融合させて行けばよいのか、それは必要であるのか、人に自分が表現したものを見せるということについてもっと熟慮すべき点があったのではないかということなど、考えてゆくべきいくつかの課題に直面しました。それらの課題に向き合っていくことは、表現活動を含めた私自身のすべての営みに於いて必要なことだと感じました。
今後、この試みがどのような形に発展していくのかはわかりませんが、常に完成されず柔軟に時代や私たち自身が求めるものを形にし、その価値を創造してゆければと思います。その起点となる今回の企画で学び取ったことを踏まえ、更なる発展と飛躍を目指していきたいと思います。(江場左知子)
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