第2回
春の風 : foo-ang
Art in 大正モダニズム : 西洋乞食
Ongoing vol.02お店レポート、第2回はfoo-angと西洋乞食です。
―春の風 : foo-ang―
吉祥寺駅についたらさぁ、Ongoingめぐりをしましょう。一番近いお店が「foo-ang」です。ここは去年の5月にオープンしたアジアンカフェです。夜に通りがかったとき、店内から広がる赤い照明がずっと気になってました。早速アジアの夜を吉祥寺で体験しにゆきました。
<<「foo-ang」出展者>>
中島一央里:「散華」他(オブジェ)
幸谷慶太:「笑うヒツジ」他(照明ランプ)
1階はレモンドロップですが、Ongoing vol.02の会場になっているのは南口店なのでお間違えなく。階段を上がって2階へと。店の周囲が回廊のようになっていてぐるりと回って入り口にたどりつきます。あまり広くない店内は入り口から向かって左がテーブル席&ソファ席、右側がカウンター席。カウンターの奥に当たる部分に個室があります。今日はカウンター席に座ってみました。
foo-angはもともと夜の照明はちょっと独特です。赤っぽい照明でなんともいえずに大人のムードなのです。その照明と素敵なハーモニーを奏でているのが「笑うヒツジ」等の焼き物のランプ達です。入ってすぐのところと、レジ付近ソファ席などに置かれてます。そしてカウンターの奥にも。さりげなく店内を温かい光で包んでいます。小さな穴からもれてくる光の行方をみると。。蝶々が沢山舞っているかのような模様が壁にできてました。近くで見ると光の洪水のようです。これは是非夜に見てみたいですね。
さて、店内の中央の天井からまるで花吹雪のように舞っているのが「散華」です。蓮の花びらをかたどった和紙に蓮の絵が描かれてます。人が側を通るとそこはかとなくゆらゆら揺れてます。「散華」と聞くと、桜吹雪のようなイメージですが、仏教では、儀式の際に唱文を唱えなが華を散布して場所を清める儀式を「散華」と呼び、日本では紙で蓮の花びらを型取った蓮華(れんげ)を散布することが多いらしいです。世俗にあっても清らかな心の花を開かせることができるようにとのことでしょうか。
風庵はランチが17時までと遅くまでなので、お昼を食べ損ねたときなんかにも使えますね。今日は夜なので迷わずお酒をオーダー。ナマ春巻きとタイ風焼きそばもオーダーしました。フォーもおいしそうです。緑カレーもっ。ベトナム風、東南アジア風のお料理がメインになります。また、見逃せないのがデザート達です。小さめポーションなので、ベツバラじゃなくてもストンとおなかに吸い込まれるように入っちゃいました。
元からあるお店のムードと展示作品とが影響しあって相乗効果をもたらしていました。ゆらゆらとゆれる花びらに漂うような気持ちを重ねて、光の渦に包まれて、おいしいお酒と料理をいただけば、まさにアジアンリゾート気分です。
お会計を待つ間出されるのが、「ロータスティー」ここにも蓮の花が。。どこまでもアジアの春の風を楽しめる、そんなお店でした。
>>foo-angについて、その他のメニューなど詳細はこちらをご覧下さい。
―Art in 大正モダニズム : 西洋乞食―
お店レポート次の店舗は、「西洋乞食」です。「西洋乞食」って名前、なんなんだろうと思った方も多いはず。私もその1人でした。今回その謎も明らかになりますが、それはまた後ほど。
<<「西洋乞食」出展者>>
丹治 匠:(オイルペイント)
佐野高太郎:(野生動物写真)
さて、お店は吉祥寺駅北口東急デパートの裏にあります。東急デパートの横を抜けて、裏通りに入ってすぐのところに「西洋乞食」の看板が。通りから、雰囲気のある階段を降りて店内へ入ります。ドアを開けるとドアについているベルが鳴り、「いらっしゃいませ」と感じのいい店員さんが。今回Ongoingとして展示されている作品、丹治匠さんのオイルペイント・佐野高太郎さんの動物写真、どちらも平面作品の為、壁側の席に座ると、作品を見ながら食事ができるとのこと。なのであらかじめお店に問い合わせて、予約をとっておくとよいと思います。「予約したものですけど」とつげると、「お待ちしておりました、こちらへどうぞ。」と席へ案内されました。
西洋乞食の店内は、壁がレンガでできていて、吹き抜けになっているホールにはグランドピアノが置いてあり、西洋の古城か、大正時代のモダンなレストランといった感じです。座席も1階と2階に分かれていて、2階ではパーティーもできるそうです。
さて、案内されたのは丹治さんの作品の真横の席。丹治匠さんはオイルペイントで、ホテルの部屋のかどだったり、燃えているものなどを、グラデーションを使いぼんやりと描いた不思議な雰囲気をもった作品を出展されていました。
真横にある作品をながめながら、オーダーをします。西洋乞食のメニューはパスタや小皿料理を中心としたもので、値段は500円から1500円くらい。飲み物はビールからカクテル・ワインやウィスキーと種類も豊富です。今回は鮭とほうれん草のパスタとビールを注文しました。オーダーをして、再び作品に見入っていると、店員さんがパンを運んできてくれました。これが西洋乞食名物自家製パンです。しかも食べ放題になっています。なんか得した気分。パンは2・3種類のものがカットされてお皿にのっています。トッピング用に2種類のビネガーもついていて、さっそく1枚食べてみました。パン自体に味がついていて、これだけでもお酒が進む感じです。ビールが来て、パンをつまみに飲んでいるところに、パスタも運ばれてきました。横長のお皿にガーリックのいい匂いがするパスタが。ますますお酒が進んじゃいます。パスタも匂いのとおり、ガーリック風味がきいていて、鮭とほうれん草とからみあって、ビールにばっちりの味でした。
丹治さんの作品の横で食事をしたので、佐野さんの作品は食事後に席を離れて見に行きました。佐野高太郎さんの作品はチーターなどの野生動物の写真です。見ている側を圧倒する迫力の写真が西洋乞食のレンガの壁にずらりとならんでいます。佐野さんの作品は西洋乞食というお店の雰囲気に負けない、独自の個性を持ったもので、雰囲気の相反する西洋乞食というお店に展示することで、印象をより深くしているように思います。
さて、おなかもいっぱいになり、作品も十分に堪能したところで、先ほどの西洋乞食という言葉の意味。
―西洋乞食とは―
文明開化後しばらくして、「公・侯・伯・子・男」爵らの子息が遊学など渡欧しているころ、その様をイキガッテ称した一種のダンディズム。教養があり、家柄もいいのだが、そんな生まれながらに恵まれた環境を素直に受け入れられずに、若い一時期にわざと汚い格好をする、その為人々はある種の羨望をこめて「西洋乞食」と称した。明治の文明開化時代から、大正モダニズムぐらいまでの、右肩上がりのいい時代の日本に生きたハイカラな男たち。育ちの良い貴婦人たちには、ノスタルジックである。(店内解説文より)
だそうです。なるほどー。
このお店に来ることで、優雅な大正ロマンを体験でき、しかもお店の雰囲気は落ち着いていて何時間でもいられそうな場所。まさしく大人の隠れ家といった印象のお店の西洋乞食でした。ぜひ皆さんも大正ロマンと、丹治さん・佐野さんの作品を味わいに行ってみてください。
>>西洋乞食について、その他のメニューなど詳細はこちらをご覧下さい。
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